靴磨き古今東西
古き良き時代の貧しい少年のイメージ
猫も杓子もおじさん全員新聞紙を持ち歩いていたような時代のアメリカ(だとする)。『旦那、磨きましょうか?』ボロを来た幼い少年が足元にかがむ。『ああ、よろしく。』そして、靴磨きの代金として小銭を渡す。……みたいなシーンが有ったんじゃないかしら? 磨いても磨かなくてもどうでもいい革靴だけど、盗みでも物乞いでもなく労働の対価が欲しいと頑張った少年にお小遣いをやるきっかけが欲しかったのだ……と、フォンヌは思う。そんな昔のアメリカの話は置いておいて。
ハノイの観光地で不評な青年たち
時代は2025年前後のベトナム。治安もよく、ほどほどに物価も安く観光客に人気の首都、ハノイにて。ぼっっったくり靴修理屋の青年が多数出没するとかで、かなり嫌がられているらしいです。今時、革靴で熱帯の観光地に来る人も少ないので、磨きましょうではなく、修理しましょうというサービスになっているようです。
声は掛けるが掛けられたくない
何かお困りの方を見かけたとか、自分が困っているとかだと、ほとんど躊躇なく自分から話しかける方ではあるのですが。キャッチみたいな人に声掛けられるのは面倒だと思いますし、どう見ても主婦にしか見えない駐在妻をナンパするような人が居たらオカシイと思いますし、必要でもない用なら声を掛けて欲しくないというスタンスです。愛想笑いしないアラフィフだからナンパの心配は不要でしょうけど。
面倒くさい顔で8割消えるよ
ハイフォンに来る前に、せっかくだからハノイで遊んで行くケースが多いと思います。観光地にいっぱい出ますね、靴が靴がと言ってくる人。超ロングスカートやらボンタンズボンやらの時代の不良のごとく、『あん?』って(日本語でいい)すごむと、だいたいのキャッチ(多分、ナンパ皆無)らしい人は去ります。意外と繊細なのね。まだ寄って来る場合は、『要らん!』って(日本語がいい)ボリュームを上げると3歩以上は下がります。 10メートルぐらい下がってから、『だって靴が……』って指さして言い続ける青年も、『シッシッ!』って手振りで退散しました。
後日談
指さされた靴のその後
ハイフォンでも同じ靴を履き続けました。歩きやすくてずっと気にいってますので。ハーイさんが現金おろしたいと言うのであちこち試しながら、結局よく出るATMまで歩き続けることになったその晩。ロングスカートの裾でも踏んだような違和感を感じたと思ったら、ワニの口みたいに靴の底がパックリ開きました。遅い時間だし、そもそもこの周辺で靴修理の人(ハイフォンなら駅周辺の旧市街地とか、雑種の犬が首輪無しでウロウロしているようなエリアに居がち)なんか見ませんし。
豪雪地帯の長靴のように歩く
2本しか持ってきてないボトムスのうちの1つはブーツカットのパンツだから、お気に入りの革靴は必需品。とりあえず翌朝は一歩一歩気を付けながら買い出しに行って、応急処置に必要な物を見繕いました。強力な両面テープでまずは押さえて、あとは、ゴムでも皮でもくっつく接着剤が使えるか? 親切な不動産屋さんに靴の修理をお願いするまで、しばらく変な歩き方していました。『みんな気づいてたんならもっと早く言ってよー!』って思いましたが、全く聞く耳持たなかったのは確かなので、みんなのせいにしてはいけません。日本人相手なら何千円もの修理代を請求してくるという噂のハノイのぼっっったくり青年たち。いくらまで値交渉出来たのでしょうか?